中学生の時からずっと欲しかったバイクを手に入れて3年、購入時には、性能も排気量の意味もわからず、ただ、このバイクに乗ることが唯一の楽しみのように感じていた日々でした。
20歳の時に中型免許を取って、3年間で約60,000kmの走行距離。 乗らない日は年に数えるほどで、雨の日も、雪の日も乗りたい気持ちを抑えきれなかった。
この走行距離は多い方かどうかはわからないけど、バイク仲間の間では一番多く走っていました。
ほとんどの人はしばらくバイクを経験して車に移行してしまうけど、ぼく自身、いつまでバイクに乗り続けるのかは全く予想がつかない。
もしかすると一生乗り続けているんじゃないかと思う。
小型免許から限定解除まで約1年間、試験場に通った。
試験場では、バイクは常にバランスが重要だといつも試験官は言っていて、限定解除に受かるために、極力ゆっくり直進したり、できる限り小回りをする練習でバランス感覚を養った。
その甲斐あってかどうか限定解除も受かり、通学、通勤、ツーリング、峠攻めなどの日々です。 そして、どの時もバイクに乗る楽しさはいつも同じでした。
バイクの扱いもだいぶ馴れてきたころ、ふと感じたことに、試験場で何度も言われ続けてきた「バランス」というものは、本当に必要なことだったのだろうか?
「バイクなんて体重移動ができて曲がれればいいのではないか! 雨でも、雪でも、林道でもバイクを走らすのにそれほどまでのバランスなんてなくてもコントロールはできる。
結局、バイクを運転するためにバランスを熱心に練習する必要などなかった」という結論に達したのです。
京都北部出身の僕は、雪道でさえ、さほど恐怖感を感じることなく愛車VFを走らすことができ、これで日本では「VFで走れないところはない!」と思いこんでいました。
しかし、京都を中心とした半径約600kmくらいしか走ったことのない僕が、その結論を出すには少し早すぎたのでした。
冬の北海道は、積もった雪が、0℃以上になる昼間のわずかな時間に溶けかけ、0℃以下になる午後3時過ぎには再び凍り始めるのです。 そして、僕は、その夕方には氷の道と化してしまうことを知らなかったのでした。
氷の道は、タイヤのグリップなど少しもなく、それこそバランスのみの世界だったのです。
注意:取扱説明書とありますが、これはサブタイトル名で説明書ではなくただの体験記&アルバムです。